男性の発毛治療

男性の髪とAGAについて

男性の髪とAGAについて日本で成人男性を対象に行われた意識調査では、20~69歳の約3割が薄毛・抜け毛を認識していると報告されています。※
薄毛や脱毛にはいくつかの種類がありますが、男性に多いAGA(男性型脱毛症)については研究が進んできており、原因やメカニズム、予防や対処に関する知見がかなり積み上がってきています。
髪の毛は、皮膚にある小器官の毛包によってつくられ、成長期、退行期、休止期を繰り返します。この繰り返しはヘアサイクル(毛周期)と呼ばれています。
AGAは、ヘアサイクルの成長期を短くするDHT(ジヒドロテストステロン)が毛包に作用して生じると考えられています。DHTは、テストステロンから5α-還元酵素によってつくられた男性ホルモンの1種であり、毛包に作用することで髪の毛の発育を抑制してヘアサイクルの成長期を短くし、その分休止期を長くします。十分な成長期間がなかった髪の毛は太く長くならず、細く短いまま抜けてしまいます。そして、毛包自体も成長できないままヘアサイクルを繰り返すと毛包が小型化し、髪の毛が軟毛化します。これが一般的な男性の薄毛として最も多いAGAの発症・進行メカニズムです。

※板見智『日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査』日本医事新報(4209),27-29,2004-12-25日本医事新報社

薄毛が現れやすい場所

額の生え際である前額部(ぜんがくぶ)と頭頂部の毛根は男性ホルモンの影響を受けやすく、こうした場所から薄毛が進行することが多いです。生え際が全体に薄くなるタイプ、Mの文字のように額の左右が薄くなるタイプ、頭頂部が薄くなるタイプに大きく分けられますが、当院ではさらに細かく数千種類に頭髪タイプを分類しています。

抜け毛と薄毛

抜け毛と薄毛髪の毛はそれぞれがタイミングのずれた毛周期で生えて成長し抜けるというヘアサイクルを繰り返しているため、正常な生理現象として1日に50~100本が抜けます。50~100本というのは、まとめると多く見えてしまいますが、実際には心配のない本数です。抜け毛は本数ではなく毛の状態に注意することが重要で、抜け毛に短くて細い毛が多いように感じたら、薄毛がはじまっている可能性があります。

ヘアサイクル(毛周期)について

ヘアサイクルは、2~6年の成長期、2~3週間の退行期、3~4か月の休止期を繰り返します。AGAではこの圧倒的に長い成長期が短縮されて休止期が長くなります。
髪の毛は皮膚の上の毛幹、皮膚下の毛包に分けられ、毛包の根元には毛母細胞や毛乳頭を含む毛球(毛根のふくらんだ部分)があります。成長期では、毛母細胞が分裂を繰り返すことで髪の毛が伸びていきます。退行期になると毛母細胞を含む毛球が縮小して毛包全体も縮みます。休止期には毛球が完全に退縮して毛包に末端だけが残り、奥で新たにつくられはじめた新しい髪の毛が古い髪の毛を押し出して抜け毛になります。再び成長期になると抜けた毛のあった同じ毛穴に髪の毛が伸びはじめます。
AGAでは、成長期が数か月から1年程度と、徐々に短くなっていきます。

遺伝的要素と発症年齢

遺伝的要素と発症年齢AGAは男性ホルモンの影響を大きく受けて発症しますが、遺伝的な素因も関与していることがわかっています。血縁者に薄毛の方がいる場合、AGAになる可能性が高くなります。
発症年齢としては20代から徐々に進行が始まる方が多く、ご相談としては20~40代の方が最も多いです。10代後半で受診される方、20代前半でご相談にいらっしゃる方も多く見受けられます。

薄毛の主な原因

AGAは主に男性ホルモンが関与して発症し、遺伝的な素因も発症に関係しているということがわかっています。また、成長期の毛母細胞は盛んに分裂や増殖を行っていますので、多くの栄養を必要とします。
そのため、栄養の偏りや不足があった場合には発毛に影響を及ぼします。栄養不足や過度のダイエットで髪の毛が抜けてしまうことからも、このことは明らかです。栄養バランスのとれた食事は、頭髪の良い状態を維持するためにも不可欠です。

加齢性の薄毛が合併することも

加齢性の薄毛が合併することもAGAには加齢性の薄毛が合併することも多くなっています。そして、加齢性の薄毛では、毛包幹細胞が失われることで毛母細胞が十分に働けなくなっていることがわかっています。また、毛包幹細胞は、毛を抜く、強く引っ張るといったストレスが積み重なることで減ってしまう可能性も指摘されています。
実際に、髪を強く引っ張って結い上げる髪型を日常的に続けている場合、特に強く引っ張られる生え際や分け目の部分が薄くなり、その部分に髪が生えてこなくなる牽引性脱毛症を起こすことがあります。
毛包幹細胞は髪を成長させるために欠かせないものですので、加齢性の薄毛を合併させないために、強く引っ張るなどのストレスを髪の毛に与えないようにすることも重要です。

AGAや加齢性以外の薄毛・脱毛について

AGAや加齢性以外でも、疾患の症状として薄毛を生じることがあります。

甲状腺疾患や膠原病など

内分泌や代謝異常、自己免疫、結合組織などに関連した疾患によって、薄毛や脱毛を起こすことがあります。この場合には、頭部全体に薄毛や脱毛が生じることが多いのですが、わかりにくい場合もあります。原因疾患があってその症状として現れている薄毛・脱毛の場合には、その原因疾患の適切な治療によって症状の改善が期待できます。

抗がん剤による脱毛

抗がん剤による脱毛抗がん剤では、薬の種類や投与量、スケジュールなどによって脱毛の副作用が生じることがあります。抗がん剤は細胞分裂が活発な細胞に強く影響するため、活発に分裂している毛母細胞は抗がん剤の影響を受けやすいです。投与から2~3週間後に脱毛がはじまりますが、髪の毛だけでなく、眉毛、まつ毛、脇毛、陰毛など体毛すべてに脱毛が生じる可能性があります。頭髪の毛母細胞は活発に分裂しているものが多いため、抜けることが多くなっています。ただし、抗がん剤の種類などにより、ほぼすべて抜ける高度、薄くなる中等度、あまり影響がない軽度と脱毛の程度も変わります。抗がん剤治療終了後、3か月から半年程度で再び生えてくるケースが多いのですが、毛質や色が多少変わってしまうこともあります。なお、まつ毛については、プロスタグランジンの外用剤を用いた貧毛治療で効果が期待できる場合もあります。

円形脱毛症

免疫異常によって起こる脱毛症です。自分の体の一部を異物として認識し、自己免疫応答を起こして頭髪に円形の脱毛を生じている状態です。頭髪以外の体毛に起こることや、複数できることもあります。治療方法は、年齢、脱毛範囲、発症からの経過などによって変わります。

その他

その他他にもさまざまな原因で薄毛・脱毛が起こります。皮膚疾患による薄毛・脱毛もかなり多く、炎症性皮膚疾患の脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎をはじめとしたかゆみのある皮膚疾患、水疱症などによって起こっている場合があります。また帯状疱疹によって生じることもあり、梅毒などの性感染症によって薄毛・脱毛を起こすこともあります。また、かゆみがあるとかきむしることで毛包幹細胞がダメージを受けて加齢性の薄毛を合併することもあります。

薄毛・抜け毛では、全身疾患などが関わっている場合もありますので、気になる症状がありましたら早めにご相談ください。

薄毛の予防法

AGA自体の主な原因は、男性ホルモンや遺伝的素因ですので、予防方法はありません。ただし、髪の毛は十分な栄養がないと成長できないため、栄養バランスがとれた食事は重要です。また、加齢性の薄毛を合併させてしまうと、進行が早まってしまう可能性がありますので、髪へ無用なストレスを与えることは控えましょう。

薄毛の治療法

AGAは早期の発見と対応によってより高い治療効果を期待できるとされています。早期発見に有効な徴候として、抜け毛が細く短くなってくるというものがあります。細くて短い抜け毛が気になったら、早めにご相談ください。

内服薬による治療

内服薬による治療AGAは主に男性ホルモンの影響で発症します。男性ホルモンのテストステロンは血液によって全身に運ばれています。毛根に入ったテストステロンは、5α-還元酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に作り変えられます。このDHTはヘアサイクルの成長期を短くする原因物質とされていて、髪の毛の発育を抑制します。
5α-還元酵素の働きを抑制するフィナステリドを内服することで、薄毛の進行を抑制したり、髪の毛を太く長くしたりすることで髪の量が増えて見える効果が期待できます。
ミノキシジル配合内服薬では、血液によって毛包に運ばれ毛細血管に富んだ毛乳頭の血流改善の効果につながります。体の内部から効果を届けることができるため、より高い発毛効果が期待できます。

また、どんな内服薬にでも副作用が起こる可能性はあります。頻度は低いですが、フィナステリドにも肝機能障害や精力減退、精子量の減少などがあり、専門性の高い管理が必要になります。当院の院長は内科医として、投薬治療における内科管理の研鑽を重ねた上で、AGA専門クリニックで高度な治療に携わってきていますので、副作用を最小限に抑えた治療が可能です。また、内服治療以外の選択肢も多数ご用意していますので、安心してご相談ください。
なお、並行輸入品など正式に国内認可されていない薬を服用することは危険を伴います。副作用が起きた場合にも適切な対応が困難になりますので、ご注意ください。

外用薬

ミノキシジルは、毛髪の成長に関わる毛包に働きかけて血行を促進し、それによって毛母細胞が活性化されてヘアサイクルが整って薄毛の改善や発毛効果を期待できます。ミノキシジルは血管拡張剤としてつくられた薬ですが、副作用として体毛が濃くなる現象が報告されて、それをきっかけに育毛剤として使われるようになりました。薬剤師のいる薬局でも、ミノキシジル外用薬が市販薬として販売されていますが、当院は正式な医療機関であるため、薬局の外用薬よりもミノキシジルが高濃度に配合された外用薬の処方が可能です。

自毛植毛

自毛植毛髪の毛が残っている後頭部から薄くなっている場所に毛包ごと移植するのが自毛植毛です。外科手術としてのリスクはありますが、移植が成功すると自然なヘアサイクルで毛が生えてきます。信頼できる高度医療機関の経験豊富な執刀医にしっかり相談し、リスクとベネフィットを十分に考慮して決めるようおすすめしています。

LED、低出力レーザー

適切な機器によるLEDや赤色の低出力レーザーを使った治療でも育毛作用を期待できます。副作用が比較的少なく、他の育毛治療との併用も可能ですので、気軽に試してみることができます。

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