浜松AGAクリニック院長の佐々木です。
皆さまは「発毛剤」という言葉を聞いたことがありますか。
これは「育毛剤」とは明確に異なる効果のあるものであり、薄毛治療でも使用されるものになります。
男性にも女性にも高い発毛効果を出す「発毛剤」についてご説明していきます。
●発毛剤と育毛剤の違い
発毛剤と育毛剤は、よく混同されてしまいますが、それぞれが異なる目的と役割を持っています。
育毛剤は、「今生えている髪の毛の維持」を目的として使用するものです。将来起こるかもしれない薄毛や抜け毛を予防したり、今ある髪の毛の健康を維持したりするために使うものですので、薄毛があまり進行していない方におすすめなのが育毛剤です。
それに対して発毛剤は、「今生えていない髪の毛を生やし、毛量を増やす」ことを目的として使用するものです。そのため、AGA(男性型脱毛症)や女性のびまん性脱毛症などで、産毛のようになってしまった毛を太く強くしたり、毛根は存在するけれども毛は生えていないようなところから毛を生やしていったりすることができます。
また薬機法(旧薬事法)でもこれらの分類がはっきりと分けられています。育毛剤は予防や現状維持を目的とした「医薬部外品」として、発毛剤は薄毛を治療・改善する「医薬品」として、それぞれ厚生労働大臣に認定されています。このように、発毛剤と育毛剤は似ているようにも感じますが、実は明確な違いがあるのです。
●発毛剤と育毛剤の効果
育毛剤には、頭皮の血行を改善したり、頭皮に栄養を与えたりする働きがあり、健康的な髪の毛を育てる効果が期待できます。しかし、これらの効果は限定的であり、症状が進行してしまった薄毛の状態を改善していくことまではできません。また効果の裏付けとしての研究データの信頼性も様々であり、医師の目線で申し上げますと、「お手頃ではあるが期待しすぎない方が良い」製品であると言えます。
一方発毛剤には、発毛成分として認められている「ミノキシジル」が配合されており、新しい髪の毛の発毛と成長を促す効果が期待できます。具体的な作用機序としては、頭皮の血流を良くするとともに、発毛の司令塔となる毛乳頭細胞の働きを活発にし、毛の元となる毛母細胞を分裂させていくことで、薄毛や抜け毛の原因であるヘアサイクルの乱れを正常に戻します。予防や維持をするだけでなく「生える」効果があるため、使用していただく方の思い描いている効果との差異が小さくなります。満足度も高く、発毛効果の根拠となる研究データの信頼性も高い発毛剤を、当院をはじめとする医療機関では処方しています。
●発毛剤と育毛剤の副作用
発毛剤も育毛剤も頭皮に直接塗布する外用剤になります。そのためどちらについても、外用剤に共通してみられる副作用が起こる可能性があります。これは皮膚に直接触れるものという意味で、どうしても避けることができないものになります。ただし症状としてはあまり強くないものばかりですので、比較的安心してご使用いただけます。
【育毛剤・発毛剤に共通してみられる副作用】
頭皮のかゆみ、かぶれ、赤み、発疹、フケなどの皮膚症状
また発毛剤にはミノキシジルという薬が配合されているため、育毛剤にはない副作用が生じる可能性があります。副作用の頻度自体は非常に少ないのですが、可能性がゼロではないことを考慮すると、市販のものを使用するのではなく、可能であれば医療機関で処方されたものを使用することが望ましいです。特に持病など既往歴がある方は、自己判断での使用は避けるべきでしょう。
【発毛剤だけにみられる副作用】
頭痛、めまい、動悸、手足のむくみ、体重増加など
●発毛剤の適切な使用方法
ここまで説明してきたとおり、発毛剤は正式な医薬品になります。そのため、その他の医薬品と同様に適切な用法用量というものが存在し、1日2回朝夜に1mlずつ使用することが適切な使用方法となります。これは、ミノキシジルの作用が頭皮に塗布してからどれくらい持続するのか、また効果を最大限にして、かつ副作用を最小限にするためにはどれくらいの量が適切なのかという研究データが元になっています。そのため多くつければ/頻繁につければ効果が高い、少なくつければ/1日1回にすれば副作用が少ないのではないかという自己判断はしない方が発毛剤のメリットを最大限受けることができるでしょう。