コラム

毛髪総論【基礎知識】

浜松AGAクリニック院長の佐々木です。

今回は、以前に私が当院スタッフに行なった毛髪に関する講義の内容をまとめました。

薄毛/発毛についての内容ではなく、髪そのものについての比較的易しい内容ですので、髪に悩みのある方や美容師の方など、髪に興味のある方にはぜひ気軽に読んでいただきたい内容です。

 

 

●毛髪の役割

 

毛髪は日光の紫外線や熱から直接頭皮を守るとともに、頭部の衝撃から保護する役割を持っています。

また、触覚などの刺激を感じる機能や有害物質を排出する機能もあります。

そして、これらのような生物学的に必要な機能としての役割の他にも、人間として/一個人として、「自分自身を表現する」ということが重要な役割となっています。この大きな役割があるため、私たちは髪の毛を切ったり、伸ばしたり、カラーをしたり、パーマをかけたり、それぞれ試行錯誤をしています。

 

 

●毛髪の本数

 

日本人の頭部には平均して、約10〜12万本の毛髪があり、体全体で見ると約500万本もの毛が生えています。

平均的な毛の密度は頭頂部では約300本/cm2、側頭部では約200本/cm2生えています。これはヒゲの密度の約40本/cm2と比べると、非常に高い密度であることが分かります。

 

1日の抜け毛の本数は約50〜70本であり、100本までであれば正常な抜け毛の本数であると言えます。当院でもよく抜け毛が増えているというご相談を受けますが、実際は100本も抜けていない方も多いので、抜け毛の本数を知りたいという方に関してはご自身の抜け毛の本数を数えてみても良いかもしれません。抜け毛の数え方としては、お風呂場、洗面スペース、枕付近の3ヶ所をチェックすることを当院では勧めています。この数え方で1日に100本前後抜け毛があるようであれば、抜け毛が増えている可能性が高いです。

また抜け毛の本数には季節性の変動があり、秋が抜け毛のピークになるので、髪の毛の悩みも秋頃が最も多くなります。秋に抜け毛が多い理由としては、夏の紫外線のダメージの蓄積や他の動物と同じような毛の生え変わりなどの説がありますが、まだはっきりとは分かっていません。

 

生えることのできる髪の毛の本数は生まれた時にはすでに決まってしまっており、後天的に増えることはありません。そのため、自分が生まれ持った毛髪を健やかに保っていくことや、一度軟毛化してしまった毛を医学の力でまた太く長くしていくことが、薄毛対策/抜け毛対策としてすべきことになります。

 

 

●ヘアサイクル(毛周期)

 

毛髪含めどんな毛でも、生えては抜けて、また生えては抜けてというサイクルを繰り返しています。このことをヘアサイクル(毛周期)と呼び、他の臓器や器官にはない特徴となっています。

このヘアサイクルには3つの段階があり、1つ目を毛がぐんぐん伸びていく「成長期」、2つ目を毛の伸びが悪くなっていく「退行期」、3つ目を毛の伸びが完全に止まり最終的に抜けてしまう「休止期」と呼びます。

 

「成長期」は男性で3〜5年、女性で4〜6年続き、毛髪全体の約85〜90%の毛が成長期の段階になります。この期間に毛根が大きく成長し、それに伴い毛も太く長く成長していくことから、健康的な発毛のためには最も重要な時期と言えます。AGA(男性型脱毛症)の方だと、この成長期が半年〜1年程度まで短くなってしまうため、細く短い毛(=軟毛)や産毛しか生えていない状態になってしまいます。

 

「退行期」は2〜3週間と短い期間しかなく、毛髪全体の約1%の毛が退行期の段階になります。この段階は成長期から休止期までの移行段階です。

 

「休止期」は3ヶ月続き、毛髪全体の約10〜15%が休止期の段階になります。休止期は毛が完全に角化してしまう、すなわち寿命を迎えてしまう段階であり、毛が抜け落ち、そしてまた新たな発毛が起こるまでの段階です。女性の脱毛症では、この段階の毛の割合が増えることで、髪の毛の密度が低下して整容的な問題を引き起こすということが多々あります。

 

 

●毛髪の成長速度

 

毛髪の伸びる速度は年齢や体質、栄養状態/体調などの影響を受けますが、平均すると1日に約0.4mm伸びています。

成長期を6年間と仮定し、その間ずっと0.4mm/日伸び続けるとすると、0.4mm/日×365日×6年=876mmまでは髪の毛は伸びると言えます。

 

毛髪の成長速度は季節性に変動しており、気温が高くなる4月頃から速くなり、7〜8月がピークで、それ以後は徐々に遅くなっていきます。

また毛髪の成長の最盛期は男性と女性で異なり、男性は17〜20歳が最も成長しやすく、女性は25歳ごろ最も成長しやすいです。また男性は25歳を過ぎると毛髪の成長が衰えてきて、女性は30歳を過ぎると毛髪の成長が衰えてきます。

 

 

●毛髪の太さ

 

毛髪の太さは人種によってかなりの差があります。日本人の毛髪の太さは、平均で0.07〜0.08mmと比較的太く、欧米人だと平均で0.05〜0.055mmと比較的細くなっています。

人種差だけでなく、同じ人でも太さの違う毛が混ざって生えており、通常の日本人でも0.05mmの細い毛もあれば、0.15mmの太い毛もあります。

 

また一般に、細い毛は軟らかくなり、太い毛は硬くなります。毛の硬さは「キューティクル」という構造の厚みが関係しており、キューティクルの厚みが厚いほど、硬く太い毛になると言えます。「キューティクル」は毛の構造の最外側にあるもので、刺激や摩擦から毛を保護し、毛に光沢を与える役割もあります。

 

 

●毛髪の色

 

毛髪の色は、メラニン色素というメラノサイト(色素細胞)から作られた物質により決定します。

メラニン色素には黒褐色の「ユウメラニン」と、赤色から黄色の「フェオメラニン」の2種類があり、これらの割合によって黒、褐色、金髪の色味に変わり、またこれらの量や顆粒の大きさによって色の濃さが変化します。

毛髪の色は紫外線やブリーチ剤の影響で一時的に変わることもありますが、地毛の色は遺伝的に決まっているものであるため、新たに伸びてくる毛髪の色は本来の色になります。

 

一方、年齢を重ねるとともに白髪が生え始めますが、これはメラノサイトのメラニン生成能力が低下することが原因です。

白髪の発生年齢としては、日本人平均だと男性で34歳、女性で35歳ごろになりますが、若白髪と言われる方だと小学生の頃から白髪を認める場合もあります。また白髪になりやすいかどうかも、元々の毛髪の色と同様に遺伝による影響があると言われています。

白髪が生えていることが気になる方もいると思いますが、白髪を抜いてもその後生えてくる毛も必ず白髪ですので、どうしても気になる場合は抜いてしまうのではなくカットすることをお勧めします。現在医学の力であっても白髪を根本から黒い毛髪に戻すことはできず、黒い毛髪を維持したい場合は染めていただくほかない状況です。ただし、毛髪の色を決定する細胞などは特定されているため、将来的には医学の力で根本から黒い毛髪に戻すことができる時代が来ることは期待できます。

 

 

●直毛とくせ毛

 

毛髪断面の形は正円形ではなくやや平たい形をしており、最も平たい形をした毛髪パターンを「ちぢれ毛」、最もきれいな丸の形に近い毛髪パターンを「直毛」、その中間を「波状毛」と言います。ちぢれ毛のように毛の形が平たいほど、皮下の毛根部分が強く曲がっており、それに応じてくせ毛も強く出てきます。

またこれには人種差があり、日本人を含む黄色人種には直毛が多く、白色人種には波状毛、黒色人種にはちぢれ毛が多いです。

 

 

●毛髪の生え方

 

毛髪を含め全身のほとんどの毛は、実は皮膚に対して垂直には生えておらず、斜め24〜50度の角度で生えています。

また場所によっても生え方は変わり、頭頂部付近は上向きに生え、側頭部・後頭部は下向きに生えています。この境目は渦巻状となっており、これが「つむじ」になります。

つむじはもともと毛流の境目であり、かつ毛根への血流が悪くなりやすく、薄毛の原因となる男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響も強く受けるため、AGAや女性の脱毛症などで症状が出やすい部位になっています。

 

 

●まとめ

 

ここまで毛髪について総論的な内容をまとめました。

症状や治療に関することではありませんでしたが、毛髪そのものに対する理解を深めていただくことで、この記事を読んでくださった皆様がより良く髪の毛と付き合っていくための一助になることを願っています。

 

浜松AGAクリニックでは、毛髪に関するお悩みを何でも承っています。

院長である私が全ての患者様を担当しており、薄毛・抜け毛に悩む方を発毛まで責任もってサポートしていきます。

当院は常に「院長による無料カウンセリング」を行なっていますので、是非お気軽にご連絡ください。

 

※当記事執筆者(浜松AGAクリニック院長 佐々木 宥典)については以下ご参照ください。

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